【2009/5/13】岩波写真文庫 ◆古本屋で1冊100円で投げ売りされていた、岩波写真文庫を9冊購入。実はこの本、1950年代の発刊当初の定価も100円だったんみたいです(裏表紙に¥100とプリントされていました)。約50年前、新品として100円で売られていた本が、いま再び同じ額で売られているのって、不思議な感じですね。50年前と今じゃ、きっと100円の価値はぜんぜん違うんでしょうけれど、額面としてはどちらも同じ100円なわけです。物価の変動と古書としての価値の、相対的な上昇・下降の運動の結果、50年の時を経て、この本は再び同じ額面の価値を持つに至ったわけで、その間に誰の手を渡ってきたのだろうかと想像したくなりました。
ちなみに入手したラインナップは「奈良の大佛」「奈良-西部-」「いかるがの里」「薬師寺・唐招提寺」と奈良シリーズがたくさん。あと、渋めなところから順に書くと「日本の庭園」「彫刻」。さらに「札幌」「金沢」「長崎県-新風土記-」。特に最後にあげた、都道府県や都市をとりあげたシリーズは、開発当初の駅舎とか、賑やかな漁村とか、ボンネットバスとリアカーが通る大通りといった、戦後の人の暮らしの様子、都市が近代化されていく様子が見られて、おもしろいです。
岩波写真文庫は、1950年代に岩波書店から発行されていた、1冊1テーマを扱ったB6判(くらい)・中綴じ、小冊子テイストの本で、白黒写真を主体に構成されているものです。このシリーズ、テレビ黎明期に作られたドキュメンタリー映像(NHKアーカイブスでやっているようなやつ)と似た感じがあるんですね。
ここでは写真のことだけ取り上げてみますが、広く見渡すべき、景色や地形の説明には、きちんと航空写真や大判の俯瞰写真が使われているし、逆に大仏や仏像など、ディティールを見たい被写体の場合は、きちんと見せたい部分を大きく載せている。観光地をテーマにした巻であっても、名所の正面の写真のみならず、名所の裏側に広がる川縁の草むらの写真とかも載せている。空間の雰囲気を把握することを促してくれる、許してくれる構成になっていて、そのへんが非常に、個人的にはツボです。


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