2008/4/16 水曜日

団地関連本、発売ラッシュ。

ここ1ヶ月、団地関連本の発売が相次いでいる。写真集が3冊に、ペーパークラフト付きの本が1冊という豪華なラインナップで、いずれも写真や図を中心に構成された、ビジュアル系の本だ。ところで、これだけの団地本が、どうしてこの時期に立て続けに出たのだろうか。

bokutachi_danchi.jpgきっかけをつくったのは、2007年4月に出た『僕たちの大好きな団地』(洋泉社MOOK)だったと思われる。団地の魅力を実に様々な視点から検証し、さらには全国の37団地カタログを掲載したこのムックは、団地の魅力を伝えるに十分な本であったといえよう。今になって見返してみると、団地が注目を浴びるようになったきっかけをつくった主要メンバーのほとんどが、何らかの形でこのムックに登場しているのには驚かされる。

以後、日経、読売、朝日などの各新聞や、『タモリ倶楽部』をはじめとするいくつかのテレビ番組で団地ブームが取り上げられたことで、団地本がらみの企画が同時多発的に立ち上がったのだろう。以下、それぞれの本について、簡単に書いてみたい。

4冊の本を、簡単に紹介

danchi_no_kioku.jpg■『団地ノ記憶』長谷聰+照井啓太著
(洋泉社、1600円+税、2008.4.14発行)

団地の写真を多数掲載したWebサイト「団地百景」ならびに「公団ウォーカー」の各管理人が、今までに撮りためた写真を持ち寄って再構成した写真集。古今東西、多くの団地を巡り歩いた両氏だけあって、掲載団地数は40を超え、他の追随を許さない。低層・中層の公団住宅を中心に、公社、公営、NTT社宅まで、一度訪ねたら忘れられなくなる、“記憶に残る”団地が多数収録されている。
ところで、この本の全体を貫いているテーマは、書名にもあるように、“記憶”であろう。もうすぐ消えてしまうかも知れない記憶の場所への郷愁が、巻頭から巻末まで、すべてのページに流れている。

danchi_junrei.jpg■『団地巡礼 日本の生んだ奇跡の住宅様式』写真+文=石本馨
(二見書房、2000円+税、2008.4.1)

廃墟写真集などを出している、プロカメラマンによる写真集。海岸通、草加松原、百草、荻窪といった、現存する名物団地はもとより、他ではほとんど取り上げられたことのない、廃墟化した公務員宿舎や、県営住宅の取り壊し課程が収録されている。一団地につき十数点の写真が掲載されているので、細部のディティールまで見られる点が嬉しい。
写真に添えられたコメントを読んでいると、筆者が、各団地をどのように意味づけているのかがわかる。熱にうなされるようにして各団地を“巡礼”した、筆者の熱意が伝わってくる一冊だ。
この本と『団地ノ記憶』との一番の違いは、団地が壊される課程が写されているかどうか、という点にあると思う。

danchino_kenkyu.jpg■『団地の見究』、大山顕
(東京書籍、2008.4.4発行)

「住宅都市整理公団」を手がける大山氏が、撮り集めてきた高層団地の写真コレクションが、ついに書籍化された。写真はすべて、大判のカメラで住棟の真横から撮っているらしく、ほとんど歪みがない状態で建物の形状を見ることができる。各住棟の見所やつっこみどころには、ユーモアのセンスあふれるコメントがつけられ、鑑賞ポイントを解説したテキストも、実に軽妙洒脱。レーダーチャートやアイコンを駆使した、独自の評価形態もおもしろい。一連の団地本のなかで、一番エンターテイメント性とコレクション性が高い仕上がりになっている。

■『団地さん』、大山顕
(エンターブレイン、2008.3.3発行)

『団地の見究』と同様、住宅都市整理公団総裁を名乗る大山氏の携わった一冊。団地ができた当時の貴重な写真が掲載されているのだが、それよりも気になるのは、12種類あるペーパークラフトである。実はこの本、本文が比較的厚めの紙でつくられており、切り抜いて組み立てれば住棟の模型がつくれるという、ペーパークラフトの展開図が入っているのである。しかし、模型をつくるには一部のページを切り刻む必要があり、もったいなくて、実際に作ってみようという気にはなれない。ペーパークラフトに適した紙にしたせいか、写真の発色が悪くなっている(気がする)点が、ちょっとだけ残念。

団地を考える | リャマ | 1:54:01 |

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